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先行上映で1億円稼ぎ、ひょっとしたら大ヒット?と公開直前で盛り上がりを見せていた「フライトプラン」。オープニング2日間の興収は4.94億円。「オーシャンズ12」(最終興収36億円)対比89%、「Mr.&Mrs.スミス」(最終興収見込み47億円)対比88%。2週目の落ち次第ではありますが、最終32~42億円が見える大ヒットスタートを切りました。
作品がそんなには面白くないと言う評判なので、正直ここまで入るとは誰も予想していなかった?!最近サスペンス映画がなかったから??
昨年の1月・9月に続いて今年も1月公開で40億円前後稼ぐ作品が2本も出て来たことで、映画に関しては正月・春休み・夏休みと言った長期休暇期間外でも十分稼げると言うことが証明されました。いかに競争相手のいない時期にタイミングよく公開するかと言うことが作品の中身以上に重要?
ジョディ・フォスターの前作「パニックルーム」(最終興収25億円)対比159%。4月には最新作「インサイド・マン」が公開待機中。これで期待が高まった?それともプレッシャー?
以前コメントで書いたことがある興収と配収の話。ご存知の方も多いと思いますが、一度整理しておきたいと思います。
作品の興行成績は現在興行収入で発表されていますが、1999年度までは配給収入で発表されていました。そもそもこの商売、作品の権利を持つ配給会社が劇場を持つ興行会社に作品をレンタルして、入場料の一定歩合をレンタル料として支払ってもらうシステム。入場料の合計が興行収入(=興収)でそのうち配給会社に支払われる額が配給収入(=配収)と言うことになります。
今回「男たちの大和」の大ヒットに併せて(?)東映配給興行成績上位作品が興収値で発表されていました。これまで発表されていた配収値をカッコ内で併記します。
1)天と地と(90) 91.8億円(50.5億円)
2)探偵物語/時をかける少女(83) 50.9億円(28億円)
3)里見八犬伝(83) 42.1億円(23.1億円)
4)セーラー服と機関銃(81) 41.8億円(23億円)
5)失楽園(97) 41.8億円(23億円)
6)人間の証明(77) 41.2億円(22.5億円)
7)魔女の宅急便(89) 40.7億円(21.5億円)
8)野性の証明(78) 39.6億円(21.5億円)
9)さらば宇宙戦艦ヤマト(78) 38.5億円(21億円)
10)鉄道員(ぽっぽや)(99) 37.2億円(20.5億円)
こうやって見ると東映の場合、大ヒット作品の配収は興収の55%前後ということになります。
それにしても東映って21世紀に入って大ヒット作なかったんですね...これが東宝だと「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「もののけ姫」「踊る大捜査線2」と全部今世紀に公開された作品。(更に興収が一桁違う...)最近の東宝の好調振りがまたまた浮き彫りになる結果に。
正月映画トップ3入りが確定となった「男たちの大和」。1月22日までの37日間累計興収35.5億円。東映邦画系作品でも歴代第4位になったそうです。残るは「セーラー服と機関銃」(81年/最終興収42億円)、「失楽園」(97年/同42億円)、「鉄道員(ぽっぽや)」(99年/同37億円)、の3本。このペースで行けば第1位はほぼ確定?
と言うことは上位3作品全ての製作に角川書店/角川春樹事務所の名が。大ヒット作品の作り方、分かり易いかも??
国内週末ボックスオフィス初登場第5位「レジェンド・オブ・ゾロ」。2日間の興収は1.06億円。前作「マスク・オブ・ゾロ」(最終興収9.5億円)対比76%。全米でも最終興収は前作の約半分だったので同程度?
かつて集客力の高かった、スタローンやシュワルツェネッガーといったおっさんが主役のこてこてのアクション映画、最近少なくなりましたね。女性・カップルが中心のシネコン客層にはあまり好まれない?
「オーシャンズ12」「ターミナル」「シカゴ」と意外とヒット作が続いているキャサリン・ゼタ・ジョーンズ。今回初来日キャンペーンだそうですが、肝心の映画がいまひとつの成績と言う皮肉な結果になるとは...フェロモン全開でがんばっていたのに。もっと早く来日しておけばと本人は思っていたりして?
国内週末ボックスオフィス初登場第4位「博士の愛した数式」。2日間の興収は1.17億円。小泉監督の前作「阿弥陀堂だより」(最終興収5.5億円)対比238%。寺尾聰主演の前作「半落ち」(同19億円)対比76%。深津絵里は...映画の主演となると96年に公開された「(ハル)」であまり参考にならないので...単純計算で最終13~14億円くらいは見込める???
アスミック・エース印の日本映画の場合、渋谷や恵比寿あたりのアート系の劇場メインに全国70スクリーンくらいに館数を絞って、細く長めに興行するというスタイルが多いですよね。今回は全国200スクリーンでの拡大公開で正解!でしたが、「大停電の夜に」のように絞った方が良かった?と言う場合もあって、そのあたりの線引きが難しい...
今後のラインナップ「間宮兄弟」「ハチミツとクローバー」「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」はどれも拡大公開も可能そう...どういう営業戦略になるのでしょうか?
映画振興委員会が公表している「2005年度版 韓国映画年鑑」および「2005年1月~10月韓国映画産業統計」によりますと、昨年日本で大ヒットした3本の韓国映画のソウルにおける総観客動員数は、「私の頭の中の消しゴム」80万人、「四月の雪」29万人、「僕の彼女を紹介します」66万人と大ヒットの基準とされる100万人を超える作品はなかった模様。(ちなみに歴代NO1「ブラザーフッド」は350万人。)逆に考えれば韓国でヒットしない方が日本で大ヒットの可能性は高い訳(?)で、先日紹介しました今年期待の韓流作品に加えて更に期待の3本を。
「My Girl and I」(原題)
「僕の彼女を紹介します」を大ヒットさせたワーナー映画が送る韓国版「世界の中心で愛をさけぶ」。秋サロンパス ルーブル丸の内他全国公開予定。
「ア・サッド・ムービー」(原題)
「私の頭の中の消しゴム」を大ヒットさせたGAGAが買い付けた、チョン・ウソンの新作。秋公開予定。
先週末新聞広告に「アカデミー賞最有力作品」の文字が冠された「プライドと偏見」「スタンドアップ」「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」。それぞれの土日興収は6500万円、5000万円、2600万円。「プルーフ」のみ館数が半分なので実質的にはほとんど同じくらい低いレベル。
女性向け作品の場合、昨年の「きみに読む物語」のようにオープニング2日間興収9700万円だったのが最終興収12.6億円まで伸びる例もあるにはあるものの、これらの3作品はそこまでは行かなさそう...前哨戦のゴールデングローブ賞にはどの作品も引っかかりませんでした。
まあ映画会社も本当にアカデミー賞最有力と思ったら、「ブロークバック・マウンテン」のように3月の授賞式に公開日を合わせるでしょうしね。それまでは各社「最有力作品」の宣伝文句は使い放題です。
「王様のレストラン」「古畑任三郎」とヒットドラマを作りながらも、第1回監督作品「ラヂオの時間」(最終配収4億円)、第2回「みんなのいえ」(最終興収12.5億円)と映画でのヒットには縁遠かった三谷幸喜監督。最新作「THE 有頂天ホテル」土日の興収は5.7億円と同じ東宝マークで昨年大ヒットした「NANA」(同40.3億円)や「交渉人 真下正義」(同42億円)のオープニング数字を上回るスタートを切りました。最近はドラマの方も「合い言葉は勇気」「新撰組!」と低調だっただけに、正直映画でのこの数字には驚き。理由は色々あるでしょうが、自分は
1)「NANA」「容疑者 室井慎治」「ALWAYS 三丁目の夕日」といった絶好調の東宝作品に予告篇が付いていて、劇場に足を運ぶこの作品を好みそうなカップル・大人の多くの観客に、この作品の「面白そうな匂い」が届いたため。
2)正月の「古畑任三郎ファイナル」で脚本家・三谷幸喜に対する関心が高まったため。
の2点を挙げたいと思います。
東宝さんも先週の「輪廻」のつまずきなんて払拭。次の「単騎、千里を走る」も大ヒット!ってそこまで甘くないとは思いますが。
外国映画輸入配給協会によれば、2005年公開された外国映画は375本。アメリカの153本に次いで韓国が61本と全体の16.3%、3位のフランスの3倍。韓流ブームを証明する形となりました。
今年も全国100スクリーン以上での公開が予定されている韓流作品は現時点で、2月11日クォン・サンウ「美しき野獣」、同日チャン・ドンゴン「PROMISE」、4月8日チャン・ドンゴン「タイフーン」、4月15日チェ・ジウ「連理の枝」、5月「デュエリスト」、初夏チョン・ジヒョン「デイジー」、秋チャ・テヒョン「My Girl and I」...とまだまだ衰えは見られません。
2005年は日本における韓国映画興収記録は3度も塗り替えられ、現在記録保持者の「私の頭の中の消しゴム」は1月8日時点で興収29.4億円と30億円にあと少し。今年記録を更新する作品はこの中にあるのでしょうか?
「銀色の髪のアギト」、オープニング2日間の数字は2300万円。「機動戦士ガンダムI」対比15%、「同II」対比20%と惨敗。「ガンダム」並のヒットを期待して全国110スクリーンで公開したものの、そこまで拡大する力のある作品ではなかったということでしょうか?とは言うもののこれも結果論。700スクリーンで2.8億円のオープニングだった「キング・コング」にしても、「こんなはずじゃなかったのに...」なんてことはよくあることです。
ちなみに本作は中国で約1000館規模で公開されるそうです。大丈夫?そっちのほうが心配!
1998年1月「リング/らせん」(最終配収10億円)の大ヒット以降定番となりました東宝冬のホラー。翌年「リング2/死国」(同21億円)をピークに2000年「リング0/ISOLA」(最終興収16億円)、01年「狗神/弟切草」(同6億円)、02年「仄暗い水の底から」(同5.9億円)と落ち込んだ後、04年「着信アリ」(同15億円)、05年「着信アリ2」(同10億円)と持ち直してきたところでした。
先週末登場、2006年「輪廻」。オープニング2日間の数字は9800万円。「着信アリ」シリーズの約45%と再び暴落。来年は無しかなあ?「恋に唄えば♪」に続いて主演作品がこけてしまい、優香の映画における興行価値の低さを露呈する結果にもなりました。
本作はハリウッドリメイクのオファーが殺到しているそうですが、アメリカでの好調振りとは反対に日本では2002年の「ザ・リング」(同17.5億円)をピークに、昨年は「THE JUON/呪怨」(5.5億円)、「ザ・リング2」(3億円)、「ダーク・ウォーター」(1.5億円)と動員力は下げ止まらず。これだけ多いとさすがに観客も飽き飽きしている?
今年は夏に「着信アリ ファイナル」が予定されていますが、これでしばらくホラー映画を封印したらどうでしょうか?
正月3夜連続で放送された「古畑任三郎ファイナル」。すべてが視聴率20%を超える快挙、12年間にわたる人気シリーズの“完結編”として有終の美を飾った、そうである。これだけのヒットドラマ、ファイナルは劇場映画化しても見に行くファンは多いのではと考えてしまうのですが?
テレビドラマ→同じ出演者で映画化という流れは、1998年の「踊る大捜査線」(最終配収50億円)の大ヒット以降最終興収順で、「同2」(175億円)、「木更津キャッツアイ」(15億円)、「ナースのお仕事」(14.4億円)、「トリック」(12.9億円)、「ケイゾク」(12.5億円)、「明日があるさ THE MOVIE」(4.5億円)、「スカイハイ」(2億円)と言った感じ。意外に少ないような気もします。「踊る」シリーズは別格ですが、「古畑任三郎 THE MOVIE」も12~15億円クラス以上の力は十分あると思うのですが...その気がないのは三谷監督?田村正和??フジテレビ???
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